バリント症候群

1.定義・症状 ①視覚性注意障害: 典型的には視野の主に中心部においてひとつの物体しか見ることのできない症状 ②精神性注視麻痺: 対象への視線の移動が難しく、個視も不確実な症状 ③視覚失調: 発見し、個視した対象であってもスムーズに手を伸ばしてつか…

Dementiaの検査

1.スクリーニング ・長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R) 21/20 ・Mini-Mental State Examination(MMSE) 24/23 2.記憶検査 ・三宅式記銘力検査(言語性) ・Rey複雑図形検査(視覚性、視空間性) 3.知能検査 ・Wechsler成人知能検査改訂版(WAIS-…

譫妄delorium(acute confusional state)

1.定義 注意を集中して維持したり適切に移動させたりする能力の低下と意識レベルの変容が急性発症し、かつ変動する病態。 2.譫妄の危険因子 ・患者要因 個人的要因:高年齢、病前からの認知機能の問題、合併症、譫妄の既往、病前の性格 手術例:術後経過…

アルツハイマー型痴呆(ICD-10)

A.多彩な認知欠損の発現で,それは以下の両方により明らかにされる. (1)記憶障害(新しい情報を学習したり,以前に学習した情報を想起する能力の障害) (2)以下の認知障害の1つ(またそれ以上): (a)失語(言語の障害) (b)失行(運動機能が…

今泉敏:吃音の脳科学.言語聴覚研究2:79-87,2005

○脳機能画像法による吃に関する研究からの原因論 ・非優位半球(右半球)の発話運動関連領野の過剰な活動を原因とする仮説 ・大脳運動野と小脳、視床、大脳基底核が構成する発話運動制御系の過剰活動を原因とする仮説 ・大脳基底核における神経伝達物質ドー…

吃音の病因論

素因論(破壊説、器質論):大脳半球優位説、耳聴理論 環境論(学習説):診断起因説、二因子学習説 欲求抑圧説(神経症説) 一部のみ

失行apraxia

Apraxiaの診断Liepmannの定義 1.運動障害(マヒなど)・了解障害(失語)・認知障害(失認)がないorでは説明できない。 2.課題意図の理解障害(痴呆)・意欲の障害がない。 3.指示された運動や物品使用を誤る。実際の診断 1.痴呆などとの鑑別が可能…

脳の発生

・前脳prosencephalonから終脳telencephalon(大脳cereberum)と間脳diencephalon(視床thalamus+視床下部hypothalumus) 内腔:終脳telencephalonは側脳室lateral ventricle、間脳diencephalonは第3脳室third ventricle ・中脳mesencephalonはあまり発展…

永井知代子:Williams症候群の神経心理学.神経心理学20:136-145,2004(特集「発達心理学」)

要旨:Williams症候群(WS)は第7染色体の半接合体欠失による隣接遺伝子症候群である.言語機能良好/視空間認知不良など特異な認知機能パターンをとることから,近年認知神経科学分野で注目されている.当初は言語・視空間認知など認知モジュールの生得説…

増本康平,高井恒夫:被験者実演課題を用いたAlzheimer病患者のエピソード記憶に関する研究.神経心理学18:239-246,2002

アルツハイマー病患者、高齢者、若年者を対象。 言語課題(VT)、言語/道具課題(VT/O)、実験者実演課題(EPT)、被験者実演課題(SRT)を実施。材料:行為文 言語課題(VT):口頭で提示した行為文を記銘。 言語/道具課題(VT/O):言語提示と同時に行為…

酒井邦嘉:言語の脳内処理機構.高次脳機能研究25:153〜164,2005

(p.56) 「特殊な強化トレーニングを長期間実施することなく、実質わずか30分程度のトレーニングをした際に、学習途上で脳機能がダイナミックに変化することを明らかにした」 (p.56) 「大脳皮質が成人で完成するのではなく、大人になった後も脳が機能的に…

池谷裕二:記憶力を強くする 最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方.講談社.2001

海馬の信号の流れ 「側頭葉」→「歯状回」→「CA3野」→「CA1野」→「側頭葉」 海馬に記憶がとどまっている期間は長くても1ヶ月程度。 θ波:主に海馬から発せられる脳波。5ヘルツで規則的なリズムをもつ。θ波が発生するとき。 新しいものに出会う。 初めての場…

池谷裕二:記憶力を強くする 最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方.講談社.2001

(p.66,67) プライミング記憶が発見されたのは1980年代のことで、それ以前には存在すら知られていなかったのです。そこで、プライミング記憶について説明する前に、簡単な実験をしてみましょう。まず次の文章を読んでみてください。これはアメリカが生んだ…

佐野洋子,加藤正弘:脳が言葉を取り戻すとき―失語症のカルテから―.日本放送出版協会,2004

(p.21) 失語症者が言語訓練を通しておこなう作業は、言語を再び学びなおすこと、すなわち再学習とは根本的に異なる。言語訓練の理論では、失語症を単に「脳の中で言葉が消失した状態」とは考えない。そうではなく、「言葉を自由に外界から脳に取り込んだり…

宇野彰,狐塚順子,豊島義哉,春原則子,金子真人:小児失語における回復の経過―SLTA総合評価尺度による分析―.高次脳機能研究24:303-314,2004

要旨:本報告の目的は,小児失語の改善因子,回復の経過,障害構造に関して,限局病巣を有する18例について客観的評価法を用いて検討することである。間隔尺度化された得点法である標準失語症検査(SLTA)総合評価得点を指標とした。また,大脳後方に限局的…

寺尾安生:TMS(Transcranial magnetic stimulation)による高次大脳機能の解析.神経内科,63:47-52,2005

Virtual lesion法 磁気刺激をすることにより、皮質に一種のノイズが加わることによって直下の皮質で行われている情報処理が一過性に妨害されることを利用する(p.47)Virtual lesion法を用いて皮質領域の機能的マッピングを行うことが可能 著者はVirtual les…

山岨達也:耳生帯状疱疹.CLIENT21―21世紀耳鼻咽喉科領域の臨床―4.外耳・中耳,39―40,中山書店,2000

・Ramsey Hunt症候群 外耳の帯状疱疹 顔面神経麻痺 第Ⅷ脳神経症状(耳鳴・難聴・めまいなど) 上記の三徴候すべてそろう→完全型 上記の三徴候どれかひとつ欠ける→不全型 顔面神経麻痺患者の10〜20%を占める すべての年齢層に発症 病因:水痘・帯状疱疹ウィ…

バートルソンの研究(1960)

実際の色と記憶による色の比較。 結果:記憶色の方が色彩が鮮やか(色度図の差で示す)

聴理解における脳の局在

聴覚的把持に関与する部位: ・第2側頭回聴覚的理解に関与する部位: ・Wernicke野 ・聴覚野 ・横側頭回 ・縁上回下部(音の微妙な差異) ・第2側頭回(カテゴリー分類)

石合純夫:半側空間無視を解明する!―BITからdeep testsへ―.高次脳機能研究24:232-237,2004

「空間性注意」(spatial attention)」:「外界と固体との空間的な関係の中で,意識を適切な対象に集中し,また必要に応じて移動していく過程の総体」Ⅲ.BITからdeep testsへ ・抹消試験 ・線分二等分試験 ・模写・描写試験

森田秋子,小林修二:知的機能が失語症患者の基本ADLに与えている影響―レーブン色彩マトリックス検査を用いて―.高次脳機能研究25:26-32,2005 22:57

因果モデルを仮定して相関を出す。モデルに使用した要素は入院時の年齢(AGE)発症から入院までの期間(POA)バーセル・インデックス(BI)レーブン色彩マトリックス検査(RCPM)標準失語症検査(SLTA)体幹下肢運動年齢(MOA)上肢機能得点(MFS) 結果SLTA…

ウィリアムズ症候群

・健常より脳の総容積少ない ・前頭葉と側頭葉辺縁系は問題なし ・小脳正常 ・一次聴覚野、聴覚野側頭平面が肥大化している

メニエール病

メニエール病の病期の判定 1期:聴覚障害,前庭・半規管反応低下とも可逆性である 2期:聴覚障害、前庭・半規管反応低下のいずれかあるいは両者が不可逆性であるが、変動を認める 3期:聴覚障害、前庭・半規管反応が固定している 4期:聴覚障害、前庭・半規…

酒井邦嘉:言語の脳科学.中央公論新社,2002

第12章「言語獲得の謎―言葉はどのようにして身につくか」(p.283〜284) 乳児は、六カ月までに母語の音声の特徴を認識できることが、アメリカの心理学者のクール(P.K.Kuhl)らによって明らかにされた。実験では、スウェーデン語、英語、日本語のいずれか…

酒井邦嘉:言語の脳科学.中央公論新社,2002

第8章「自然言語処理―人工知能の挑戦」(p.213) ニューラルネットでは、ニューロンに相当する素子同士の結合(コネクション)を強めたり弱めたりすることで、学習の効果を保存する。このようなアプローチのことを、「コネクショニスト・アプローチ」または…

酒井邦嘉:言語の脳科学.中央公論新社,2002

第5章「言語の脳科学―言語はどのようにして調べられるか」経頭蓋摘磁気刺激(transcranial magnetic stimulation):TMS 1秒に数回〜数十回の刺激でてんかん発作を誘発するおそれあり。 数秒に1回の単発もしくは2発の磁気刺激は、健常者に対して問題ない。…

酒井邦嘉:言語の脳科学.中央公論新社,2002

第3章「モジュール仮説―言語はどこまで分けられるか」(p.64) 意味論の古典的な考えは、「外延(extension)」と「内包(intension)」を区別することである。外延とは、ある意味(概念)の適用できる要素の範囲のことである。例えば、動物の外延は、魚や鳥…

酒井邦嘉:言語の脳科学.中央公論新社,2002

第2章「獲得と学習―人間はチンパンジーとどこが違うか」(p.37) そもそも、言語が何かの必要性から生まれたと考えるのは誤りである。この点は、進化の議論によくある落とし穴だ。鳥の翼は飛ぶために必要なものだが、飛ぶ必要性から翼が進化したわけではな…

酒井邦嘉:言語の脳科学.中央公論新社,2002

第1章:脳―心―言語「脳はどのようにことばを生みだすか」が難問である理由 1) 言語は脳の高次機能の頂点にあるため、ブラックボックスの究極であるから。 「一般に言語はコミュニケーションのための手段だと考えられているが、言語のはたらきはそれだけで…

酒井邦嘉:言語の脳科学.中央公論新社,2002

はじめに (p.鄯〜鄱)「言語」とは『広辞苑(第五版)』に、「人間が音声または文字を用いて思想・感情・意思などを伝達したり、理解したりするために用いる記号体系」とある。一方、「言葉」とは、「ある意味を表すために、口で言ったり字に書いたりする…