アルツハイマー型痴呆(ICD-10)

A.多彩な認知欠損の発現で,それは以下の両方により明らかにされる.
 (1)記憶障害(新しい情報を学習したり,以前に学習した情報を想起する能力の障害)
 (2)以下の認知障害の1つ(またそれ以上):
    (a)失語(言語の障害)
    (b)失行(運動機能が損なわれていないのにもかかわらず動作を遂行する能力の障害)
    (c)失認(感覚機能が損なわれていないのにもかかわらず対象を認識または同定できないこと)
     (d)遂行機能(すなわち,計画を立てる,組織化する,順序立てる,抽象化する)の障害

B.基準A1およびA2の認知欠損は,そのおのおのが,社会的または職業的機能の著しい障害を引き起こし,病善の機能水準からの著しい低下を示す.

C.経過は,緩やかな発症と持続的な認知の低下により特徴づけられる.

D.基準A1およびA2の認知欠損は,以下のいずれによるものでもない.
  (1)記憶や認知に進行性の欠損を引き起こす他の中枢神経疾患(例:脳血管疾患,パーキンソン病ハンチントン病,硬膜下血腫,正常頭水頭症,脳腫瘍)
  (2)痴呆を引き起こすことが知られている全身疾患、(例:甲状腺機能低下症,ビタミンB12または葉酸欠乏症,ニコチン酸欠乏症,高カルシウム血症,神経梅毒,HIV感染症
  (3)物質誘発性の疾患

E.その欠損は譫妄の経過中にのみ現れるものではない.

F.その障害は他のⅠ軸の疾患(例:大欝病性障害,統合失調症)ではうまく説明されない.