高次聴覚機能障害の種類と鑑別

田中美郷:高次聴覚機能障害の種類と鑑別.失語症研究12:118〜126,1992


高次聴覚機能障害の鑑別:伝音系でないことを証明→気導聴力と骨導聴力の比較


一つの音源から音が左右の耳に達するときには,わずかながらも時間差と音圧差が生じる。これらの情報は上オリーブ核レベルで処理されて,音源の方向が分析・合成され,高次レベルにおける空間認知の基礎情報となる。
p.118

人間の高次聴覚機能には少なくとも次の
 言葉の知覚・認知のコード系
 音楽の知覚・認知のコード系
 環境音の知覚・認知のコード系
 空間の知覚・認知のコード系
が並列的に存在し,それぞれに階層性構造があって,さらにこれら4者の上位にこれらを総合する形で高等な認識活動のレベルがあると考えることができるように思う。
P.119

環境音は言語音のように抽象化された記号と異なり,音源を直接代表して具象的といえる。Pavlovの言を借りれば言葉は第二信号系の信号であるのに対し,環境音は第一信号系の信号といった違いがある。
p.124