酒井邦嘉:言語の脳科学.中央公論新社,2002


第1章:脳―心―言語

「脳はどのようにことばを生みだすか」が難問である理由
1)
言語は脳の高次機能の頂点にあるため、ブラックボックスの究極であるから。
「一般に言語はコミュニケーションのための手段だと考えられているが、言語のはたらきはそれだけではない。言語を手段として使うという命令そのもの(言語化の意志)が、言語の能力によって支えられていることを忘れてはいけない」(p.4)
2)
言語は人間のみに伝わった能力であるため、動物実験で使用する方法がとれない。
3)
言語機能は認知機能と結びついているため、言語のみをとりだして研究することが困難。

「言語の特徴として、うまく本質をとらえた記事が『ネイチャー』誌に出ていたので、紹介しよう」(p.20)
自然言語は、あいまいさに満ちている
・文の複雑さには上限がない
・文法は変わりやすい