岩村吉晃:タッチ<神経心理学コレクション>,医学書院

大性感覚の定義は,最も狭義の身体感覚に相当し,「身体の表層組織(皮膚や粘膜)や,深部組織(筋,腱,骨膜,関節囊,靭帯)にある受容器が刺激されて生じる感覚」です。 P.5Gibsonは,「知覚システムとしての感覚」という著書のなかで,感覚をアリストテ…

岡部慎吾,宇川義一:連続経頭蓋磁気刺激の治療の可能性.神経内科64:473-480,2006

疾患ごとに現状に関しての概略Perkinson病、うつ病、統合失調症、脊髄小脳変性症、不安障害、排尿障害、書痙、てんかん、疼痛、半側空間無視 おわりに 耳鳴りを軽減し,減煙に成功し,本態性振戦の治療や,多発性硬化症に伴う痙性の改善などにも応用した研究…

久保田博南:電気システムとしての人体 からだから電気がでる不思議.2001,講談社

1.心臓 発見 1628:W・ハーヴィー(イギリス)が血液が循環していることを発見 1733:S・ヘイルズ(イギリス)が初めてウマの血圧を測定 1857:J・マイヤー(ドイツ)が血液の酸素運搬を発見 1903:W・アイントーフェン(オランダ)が初めて心臓で発生する…

八木明宏著:現代心理学シリーズ6知覚と認知.培風館,1997③

7章 知覚の構造心理学では、記憶が複雑なスキーマ(shema)からなっていると考えられている。スキーマは、最初、バートレット(Bartlett,F.C)によって用いられた概念である。スキーマは過去の経験や環境についての構造化された知識である。(p62)ある…

八木明宏著:現代心理学シリーズ6知覚と認知.培風館,1997②

4章 聴覚の基本特性心理的には、音の大きさ(loudness)、音の高さ(pitch)、音色(timbre)の3要素からなっている。(p31-32)音の大きさは振幅、高さは周波数、音色は波形で、その特徴を表すことができる。(p32) 5章 精神物理学と心理測定法物理量と…

八木明宏著:現代心理学シリーズ6知覚と認知.培風館,1997

1章 感覚と知覚ヴェルトハイマー(Wertheimer,M.)は「私は、明るさや色調を見ているのではない。空を、木を見ているのだ」と述べている。(p3)電磁波としての色や、音圧の変動など物理的な事象を特に問題とするとき、それに対応して生じる心理的な活動…

福永篤志,大平貴之,加藤元一郎,鹿島晴雄,河瀬斌:後出し負けじゃんけん時の補足運動野の役割.高次脳機能研究25:242−250,2005

要旨:後出し負けじゃんけんの「負けよう」とする認知的葛藤の脳基盤はいまだ明確ではない。今回われわれは,右利き健常人9名に対し,後出しじゃんけん(負けまたはあいこ)負荷時に3テスラfMRIを撮影し,安静時と比べて有意に検出されたBOLDシグナルの…

パーキンソン重症度

http://www.nanbyo.or.jp/zaidan/nanbyo/tokuteisikkan_list/20/n20h2.html

皮質下性痴呆

大脳基底核・間脳・脳幹を病巣とする 症状: ・獲得された知識を操作する能力の障害 ・思考過程や情報処理過程の緩慢化 ・記憶想起の過程の緩慢化(時間をかければ想起は可能) ・無感情、無気力、興奮などの人格や感情の障害 ・失語、失行、失認などの巣症…

辺縁系における回路

Papezの回路(medial limbic circuit): 記憶の変換器海馬→脳弓→乳頭体→乳頭体視床束→視床前核群→帯状回→海馬傍回→海馬 Yakovlevの回路(basolateral limbic circuit): 感情表出複合体扁桃核→視床背内側核→前頭葉眼窩部→鉤状束→側頭葉先端部→扁桃核

大脳基底核の構造と機能

De Longらの説明運動機能:運動野―被核―淡蒼球系を中心とした運動ループ 認知機能:前頭連合野―尾状核系を中心とした複合ループ

脳梁離断症候群

1.左大脳半球優位性に関連する症状 ・左手の失行 ・左手の失書 ・左手の触覚性呼称障害 ・左視野の失読2.右大脳半球優位性に関連する症状 ・右手の左半側空間無視 ・右手の構成障害3.左右対称性の障害 ・位置覚や立体覚、触覚などの移送障害 ・交叉性…

バリント症候群

1.定義・症状 ①視覚性注意障害: 典型的には視野の主に中心部においてひとつの物体しか見ることのできない症状 ②精神性注視麻痺: 対象への視線の移動が難しく、個視も不確実な症状 ③視覚失調: 発見し、個視した対象であってもスムーズに手を伸ばしてつか…

譫妄delorium(acute confusional state)

1.定義 注意を集中して維持したり適切に移動させたりする能力の低下と意識レベルの変容が急性発症し、かつ変動する病態。 2.譫妄の危険因子 ・患者要因 個人的要因:高年齢、病前からの認知機能の問題、合併症、譫妄の既往、病前の性格 手術例:術後経過…

今泉敏:吃音の脳科学.言語聴覚研究2:79-87,2005

○脳機能画像法による吃に関する研究からの原因論 ・非優位半球(右半球)の発話運動関連領野の過剰な活動を原因とする仮説 ・大脳運動野と小脳、視床、大脳基底核が構成する発話運動制御系の過剰活動を原因とする仮説 ・大脳基底核における神経伝達物質ドー…

脳の発生

・前脳prosencephalonから終脳telencephalon(大脳cereberum)と間脳diencephalon(視床thalamus+視床下部hypothalumus) 内腔:終脳telencephalonは側脳室lateral ventricle、間脳diencephalonは第3脳室third ventricle ・中脳mesencephalonはあまり発展…

永井知代子:Williams症候群の神経心理学.神経心理学20:136-145,2004(特集「発達心理学」)

要旨:Williams症候群(WS)は第7染色体の半接合体欠失による隣接遺伝子症候群である.言語機能良好/視空間認知不良など特異な認知機能パターンをとることから,近年認知神経科学分野で注目されている.当初は言語・視空間認知など認知モジュールの生得説…

酒井邦嘉:言語の脳内処理機構.高次脳機能研究25:153〜164,2005

(p.56) 「特殊な強化トレーニングを長期間実施することなく、実質わずか30分程度のトレーニングをした際に、学習途上で脳機能がダイナミックに変化することを明らかにした」 (p.56) 「大脳皮質が成人で完成するのではなく、大人になった後も脳が機能的に…

聴理解における脳の局在

聴覚的把持に関与する部位: ・第2側頭回聴覚的理解に関与する部位: ・Wernicke野 ・聴覚野 ・横側頭回 ・縁上回下部(音の微妙な差異) ・第2側頭回(カテゴリー分類)

石合純夫:半側空間無視を解明する!―BITからdeep testsへ―.高次脳機能研究24:232-237,2004

「空間性注意」(spatial attention)」:「外界と固体との空間的な関係の中で,意識を適切な対象に集中し,また必要に応じて移動していく過程の総体」Ⅲ.BITからdeep testsへ ・抹消試験 ・線分二等分試験 ・模写・描写試験

酒井邦嘉:言語の脳科学.中央公論新社,2002

第12章「言語獲得の謎―言葉はどのようにして身につくか」(p.283〜284) 乳児は、六カ月までに母語の音声の特徴を認識できることが、アメリカの心理学者のクール(P.K.Kuhl)らによって明らかにされた。実験では、スウェーデン語、英語、日本語のいずれか…

酒井邦嘉:言語の脳科学.中央公論新社,2002

第8章「自然言語処理―人工知能の挑戦」(p.213) ニューラルネットでは、ニューロンに相当する素子同士の結合(コネクション)を強めたり弱めたりすることで、学習の効果を保存する。このようなアプローチのことを、「コネクショニスト・アプローチ」または…

酒井邦嘉:言語の脳科学.中央公論新社,2002

第5章「言語の脳科学―言語はどのようにして調べられるか」経頭蓋摘磁気刺激(transcranial magnetic stimulation):TMS 1秒に数回〜数十回の刺激でてんかん発作を誘発するおそれあり。 数秒に1回の単発もしくは2発の磁気刺激は、健常者に対して問題ない。…

酒井邦嘉:言語の脳科学.中央公論新社,2002

第3章「モジュール仮説―言語はどこまで分けられるか」(p.64) 意味論の古典的な考えは、「外延(extension)」と「内包(intension)」を区別することである。外延とは、ある意味(概念)の適用できる要素の範囲のことである。例えば、動物の外延は、魚や鳥…

酒井邦嘉:言語の脳科学.中央公論新社,2002

第2章「獲得と学習―人間はチンパンジーとどこが違うか」(p.37) そもそも、言語が何かの必要性から生まれたと考えるのは誤りである。この点は、進化の議論によくある落とし穴だ。鳥の翼は飛ぶために必要なものだが、飛ぶ必要性から翼が進化したわけではな…

酒井邦嘉:言語の脳科学.中央公論新社,2002

第1章:脳―心―言語「脳はどのようにことばを生みだすか」が難問である理由 1) 言語は脳の高次機能の頂点にあるため、ブラックボックスの究極であるから。 「一般に言語はコミュニケーションのための手段だと考えられているが、言語のはたらきはそれだけで…

酒井邦嘉:言語の脳科学.中央公論新社,2002

はじめに (p.鄯〜鄱)「言語」とは『広辞苑(第五版)』に、「人間が音声または文字を用いて思想・感情・意思などを伝達したり、理解したりするために用いる記号体系」とある。一方、「言葉」とは、「ある意味を表すために、口で言ったり字に書いたりする…

加我君考:聴覚大脳インプラントは可能か ―聴皮質の解剖と電気生理の視点から―.耳喉頭頸75:194-200,2005(増刊号)

(p.197) このBrodmannの挙げる一見極めて奇異な事実,すなわちTC領がヒトを除き,サルを含む他の全ての動物に欠如するという主張に対して,EconomoとKoskinasは,これは驚くべきことではなく,「恐らくこれはヒトにおける聴覚作用が特に人間においてのみ特…

目で見る解剖生理 vol.1

>>http://www.igakueizou.co.jp/product/igaku/igaku_np.html 大脳新皮質 投射野:出生時髄鞘化されている 連合野:出生2〜数ヶ月で髄鞘化始まる 6層構造 第Ⅲ層:連合野への出力 第Ⅳ層:入力 第Ⅴ層:錐体路の始まり(?) 第Ⅵ層:視床へ 大脳基底核:スムー…

連合野

連合野:新皮質において運動・感覚野を除いた領域。高次脳機能を担当する。1:皮質 新皮質(等皮質):6層構造 不等皮質:6層構造でない異形皮質:6層の厚さまちまち 同形皮質:6層がほぼ同じ厚さ<6層構造> ①表在層(molecular layer) ②外果粒細胞層…