2005-01-01から1年間の記事一覧

八木明宏著:現代心理学シリーズ6知覚と認知.培風館,1997③

7章 知覚の構造心理学では、記憶が複雑なスキーマ(shema)からなっていると考えられている。スキーマは、最初、バートレット(Bartlett,F.C)によって用いられた概念である。スキーマは過去の経験や環境についての構造化された知識である。(p62)ある…

八木明宏著:現代心理学シリーズ6知覚と認知.培風館,1997②

4章 聴覚の基本特性心理的には、音の大きさ(loudness)、音の高さ(pitch)、音色(timbre)の3要素からなっている。(p31-32)音の大きさは振幅、高さは周波数、音色は波形で、その特徴を表すことができる。(p32) 5章 精神物理学と心理測定法物理量と…

八木明宏著:現代心理学シリーズ6知覚と認知.培風館,1997

1章 感覚と知覚ヴェルトハイマー(Wertheimer,M.)は「私は、明るさや色調を見ているのではない。空を、木を見ているのだ」と述べている。(p3)電磁波としての色や、音圧の変動など物理的な事象を特に問題とするとき、それに対応して生じる心理的な活動…

前頭葉症候群

Ⅰ.定義 前頭葉の損傷により前頭葉が障害されることである。田川ら1)によると前頭葉は「認知や注意、判断、記憶、学習、さらには性格、意欲、行動などと広く関連しており、人間としての存在における最高次の統合の座であり、その障害により多彩な精神症状や…

ハチンスキーの虚血スコア

特徴:得点 急激な発症:2 段階的な増悪:1 症状の消長:2 夜間譫妄:1 人格が比較的保たれている:1 抑鬱:1 身体的訴え:1 感情失禁:1 高血圧の既往:1 脳卒中の既往:2 他のアテローマ硬化の合併:1 神経学的局所症状:2 神経学的局所徴候:2 判定 得点…

福永篤志,大平貴之,加藤元一郎,鹿島晴雄,河瀬斌:後出し負けじゃんけん時の補足運動野の役割.高次脳機能研究25:242−250,2005

要旨:後出し負けじゃんけんの「負けよう」とする認知的葛藤の脳基盤はいまだ明確ではない。今回われわれは,右利き健常人9名に対し,後出しじゃんけん(負けまたはあいこ)負荷時に3テスラfMRIを撮影し,安静時と比べて有意に検出されたBOLDシグナルの…

パーキンソン重症度

http://www.nanbyo.or.jp/zaidan/nanbyo/tokuteisikkan_list/20/n20h2.html

皮質下性痴呆

大脳基底核・間脳・脳幹を病巣とする 症状: ・獲得された知識を操作する能力の障害 ・思考過程や情報処理過程の緩慢化 ・記憶想起の過程の緩慢化(時間をかければ想起は可能) ・無感情、無気力、興奮などの人格や感情の障害 ・失語、失行、失認などの巣症…

辺縁系における回路

Papezの回路(medial limbic circuit): 記憶の変換器海馬→脳弓→乳頭体→乳頭体視床束→視床前核群→帯状回→海馬傍回→海馬 Yakovlevの回路(basolateral limbic circuit): 感情表出複合体扁桃核→視床背内側核→前頭葉眼窩部→鉤状束→側頭葉先端部→扁桃核

大脳基底核の構造と機能

De Longらの説明運動機能:運動野―被核―淡蒼球系を中心とした運動ループ 認知機能:前頭連合野―尾状核系を中心とした複合ループ

脳梁離断症候群

1.左大脳半球優位性に関連する症状 ・左手の失行 ・左手の失書 ・左手の触覚性呼称障害 ・左視野の失読2.右大脳半球優位性に関連する症状 ・右手の左半側空間無視 ・右手の構成障害3.左右対称性の障害 ・位置覚や立体覚、触覚などの移送障害 ・交叉性…

軽度認知障害(MCI:mild cognitive impairment)の診断基準

正常と認知症の中間の概念であり、 1.以前よりも認知機能が低下している。 2.日常生活は自立、もしくは軽度の能力障害である。

アルツハイマー病の臨床経過

第1期(1〜3年) ・記憶:新しい事柄の学習困難、記憶の想起も障害される。 ・視空間認知・構成機能:地誌的あ見当識の障害、構成障害 ・言語:失名詞 ・人格:アパシー、焦燥や悲哀感あることも ・EEG:正常 ・CT:正常第2期(2〜10年) ・記憶:想起の障…

treatable dementiaの主要な原因疾患

頭蓋内疾患: 正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍 欝病 代謝異常、内分泌異常: 低血糖発作、慢性低血糖状態 肝性脳症、慢性腎不全、水や電解質の代謝異常、低酸素脳症 ビタミン欠乏症 B1欠乏(ウェルニッケ脳症)、ニコチン酸欠乏(ペルグラ脳症)、B12…

バリント症候群

1.定義・症状 ①視覚性注意障害: 典型的には視野の主に中心部においてひとつの物体しか見ることのできない症状 ②精神性注視麻痺: 対象への視線の移動が難しく、個視も不確実な症状 ③視覚失調: 発見し、個視した対象であってもスムーズに手を伸ばしてつか…

Dementiaの検査

1.スクリーニング ・長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R) 21/20 ・Mini-Mental State Examination(MMSE) 24/23 2.記憶検査 ・三宅式記銘力検査(言語性) ・Rey複雑図形検査(視覚性、視空間性) 3.知能検査 ・Wechsler成人知能検査改訂版(WAIS-…

譫妄delorium(acute confusional state)

1.定義 注意を集中して維持したり適切に移動させたりする能力の低下と意識レベルの変容が急性発症し、かつ変動する病態。 2.譫妄の危険因子 ・患者要因 個人的要因:高年齢、病前からの認知機能の問題、合併症、譫妄の既往、病前の性格 手術例:術後経過…

アルツハイマー型痴呆(ICD-10)

A.多彩な認知欠損の発現で,それは以下の両方により明らかにされる. (1)記憶障害(新しい情報を学習したり,以前に学習した情報を想起する能力の障害) (2)以下の認知障害の1つ(またそれ以上): (a)失語(言語の障害) (b)失行(運動機能が…

今泉敏:吃音の脳科学.言語聴覚研究2:79-87,2005

○脳機能画像法による吃に関する研究からの原因論 ・非優位半球(右半球)の発話運動関連領野の過剰な活動を原因とする仮説 ・大脳運動野と小脳、視床、大脳基底核が構成する発話運動制御系の過剰活動を原因とする仮説 ・大脳基底核における神経伝達物質ドー…

吃音の病因論

素因論(破壊説、器質論):大脳半球優位説、耳聴理論 環境論(学習説):診断起因説、二因子学習説 欲求抑圧説(神経症説) 一部のみ

失行apraxia

Apraxiaの診断Liepmannの定義 1.運動障害(マヒなど)・了解障害(失語)・認知障害(失認)がないorでは説明できない。 2.課題意図の理解障害(痴呆)・意欲の障害がない。 3.指示された運動や物品使用を誤る。実際の診断 1.痴呆などとの鑑別が可能…

脳の発生

・前脳prosencephalonから終脳telencephalon(大脳cereberum)と間脳diencephalon(視床thalamus+視床下部hypothalumus) 内腔:終脳telencephalonは側脳室lateral ventricle、間脳diencephalonは第3脳室third ventricle ・中脳mesencephalonはあまり発展…

永井知代子:Williams症候群の神経心理学.神経心理学20:136-145,2004(特集「発達心理学」)

要旨:Williams症候群(WS)は第7染色体の半接合体欠失による隣接遺伝子症候群である.言語機能良好/視空間認知不良など特異な認知機能パターンをとることから,近年認知神経科学分野で注目されている.当初は言語・視空間認知など認知モジュールの生得説…

増本康平,高井恒夫:被験者実演課題を用いたAlzheimer病患者のエピソード記憶に関する研究.神経心理学18:239-246,2002

アルツハイマー病患者、高齢者、若年者を対象。 言語課題(VT)、言語/道具課題(VT/O)、実験者実演課題(EPT)、被験者実演課題(SRT)を実施。材料:行為文 言語課題(VT):口頭で提示した行為文を記銘。 言語/道具課題(VT/O):言語提示と同時に行為…

酒井邦嘉:言語の脳内処理機構.高次脳機能研究25:153〜164,2005

(p.56) 「特殊な強化トレーニングを長期間実施することなく、実質わずか30分程度のトレーニングをした際に、学習途上で脳機能がダイナミックに変化することを明らかにした」 (p.56) 「大脳皮質が成人で完成するのではなく、大人になった後も脳が機能的に…

池谷裕二:記憶力を強くする 最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方.講談社.2001

海馬の信号の流れ 「側頭葉」→「歯状回」→「CA3野」→「CA1野」→「側頭葉」 海馬に記憶がとどまっている期間は長くても1ヶ月程度。 θ波:主に海馬から発せられる脳波。5ヘルツで規則的なリズムをもつ。θ波が発生するとき。 新しいものに出会う。 初めての場…

池谷裕二:記憶力を強くする 最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方.講談社.2001

(p.66,67) プライミング記憶が発見されたのは1980年代のことで、それ以前には存在すら知られていなかったのです。そこで、プライミング記憶について説明する前に、簡単な実験をしてみましょう。まず次の文章を読んでみてください。これはアメリカが生んだ…

佐野洋子,加藤正弘:脳が言葉を取り戻すとき―失語症のカルテから―.日本放送出版協会,2004

(p.21) 失語症者が言語訓練を通しておこなう作業は、言語を再び学びなおすこと、すなわち再学習とは根本的に異なる。言語訓練の理論では、失語症を単に「脳の中で言葉が消失した状態」とは考えない。そうではなく、「言葉を自由に外界から脳に取り込んだり…

宇野彰,狐塚順子,豊島義哉,春原則子,金子真人:小児失語における回復の経過―SLTA総合評価尺度による分析―.高次脳機能研究24:303-314,2004

要旨:本報告の目的は,小児失語の改善因子,回復の経過,障害構造に関して,限局病巣を有する18例について客観的評価法を用いて検討することである。間隔尺度化された得点法である標準失語症検査(SLTA)総合評価得点を指標とした。また,大脳後方に限局的…

寺尾安生:TMS(Transcranial magnetic stimulation)による高次大脳機能の解析.神経内科,63:47-52,2005

Virtual lesion法 磁気刺激をすることにより、皮質に一種のノイズが加わることによって直下の皮質で行われている情報処理が一過性に妨害されることを利用する(p.47)Virtual lesion法を用いて皮質領域の機能的マッピングを行うことが可能 著者はVirtual les…