酒井邦嘉:言語の脳科学.中央公論新社,2002

第5章「言語の脳科学―言語はどのようにして調べられるか」

経頭蓋摘磁気刺激(transcranial magnetic stimulation):TMS
1秒に数回〜数十回の刺激でてんかん発作を誘発するおそれあり。
数秒に1回の単発もしくは2発の磁気刺激は、健常者に対して問題ない。

(p.139)
 初めて磁気刺激を大脳皮質の運動野に与えて、手指などが動くことを報告したのはイギリスのバーカー(A.T.Barker)らで、1985年のことである。その後、1991年には、アメリカのパスカル=レオーネ(A.Pascual-Leone)が高頻度の磁気刺激を左脳に加えると、発話が一時的に止まることを報告した。最近は、低頻度の磁気刺激をパルス的に加えて、文字や図形をみせてから特定のタイミングで起こる変化をとらえる実験が行われている。