2006-01-01から1年間の記事一覧

有田秀穂:絵画と脳(3)模写機能.臨床神経科学,2006

模写機能の障害は主に両側頭頂葉病変によって引き起こされることが臨床では知られている.一方,健常人で模写課題を行ってfMRI画像を調べると,両側頭葉領域だけではなく,両側の復側運動前野(BA44野)も賦活される.復側運動前野のうち,優位半球(左半球…

菊谷武編著「介護予防のための口腔機能向上マニュアル」2006,健帛社②

医療モデルにおいては,プログラムの効果として,後に述べる機能の評価において向上がみられ(例えば,RSSTの回数が増加したなど),その結果,摂食・嚥下障害が軽症化や治癒に向かったということが求められる。一方,生活機能モデルにおいては,機能評…

菊谷武編著「介護予防のための口腔機能向上マニュアル」2006,健帛社①

なかでも,要支援,要介護1と認定された比較的軽度の高齢者の伸びは大きく,要支援は136%増の686万人,要介護1は145%増の135万人に達し,介護認定を受けた人の約半数を占める。 (中略) 国民の支払う保険料も高騰化し,全国平均月額2,911円であった保険…

岩村吉晃:タッチ<神経心理学コレクション>,医学書院

大性感覚の定義は,最も狭義の身体感覚に相当し,「身体の表層組織(皮膚や粘膜)や,深部組織(筋,腱,骨膜,関節囊,靭帯)にある受容器が刺激されて生じる感覚」です。 P.5Gibsonは,「知覚システムとしての感覚」という著書のなかで,感覚をアリストテ…

岡部慎吾,宇川義一:連続経頭蓋磁気刺激の治療の可能性.神経内科64:473-480,2006

疾患ごとに現状に関しての概略Perkinson病、うつ病、統合失調症、脊髄小脳変性症、不安障害、排尿障害、書痙、てんかん、疼痛、半側空間無視 おわりに 耳鳴りを軽減し,減煙に成功し,本態性振戦の治療や,多発性硬化症に伴う痙性の改善などにも応用した研究…

菅野倫子,藤田郁代,橋本律夫,伊藤智彰:失語症における構文理解障害のパターン―左前頭葉病変と左側頭葉病変例の比較―.神経心理学21:243-251,2005

要旨:構文理解にはすくなくとも統語解析と意味解読が必要といわれるが(Saffran,2001),その脳機構は明らかではない.我々は構文理解障害を呈した左前頭葉病変例及び左前頭葉病変例に文容認性判断検査を実施し,助詞を逸脱文と語彙逸脱文,及び単文と複文…

萩原裕子:脳にいどむ言語学.岩波書店,1998⑤

エピローグ 言語演算処理の型の分類 まず、言語にかかわる演算処理には、少なくとも二つの質的に異なったタイプが存在していると考えられる。一つめは、抽象的なレベルでの「規則の適用による文法演算処理」である。これは、言語単位の大きさにかかわらず、…

萩原裕子:脳にいどむ言語学.岩波書店,1998④

4.文法の障害と遺伝子特異性言語障害の言語分析 一般に、英語が母語の特異性言語障害の人たちは、文法のなかでもとくに、形態素にかんする誤りが目立つという。とくに、時制をあらわす形態素の誤りが多いと言う。その多くは、John wash the dishes yesterd…

萩原裕子:脳にいどむ言語学.岩波書店,1998③

3.言語理論からみた失語症 新語にはルールをあてはめる (1)a抹茶は苦い。外国人の舌には、少し苦みが強すぎるようだ。 b抹茶は苦い。外国人の舌には、少し苦さ強すぎるようだ。 (2)a世界で一番うまいのはおふくろの味だ。そのうまみには、どんなコ…

萩原裕子:脳にいどむ言語学.岩波書店,1998②

3.言語理論からみた失語症(ブローカ失語の下位分類である失文法失語について) いずれも文法格助詞が抜け落ちてはいるが、よくみると語の並び方は日本語の基本的な語順である。なんだか電報の文体に似ている。笹沼らの調査では、全発話例のうち98%は、正…

萩原裕子:脳にいどむ言語学.岩波書店,1998

1.ことばの仕組み たとえば、英語の動詞の過去形をみてみよう。中学生のときを思い出してもらいたい。 a go‐went do−did be‐was b sing−sang ring−rang spring−sprang c walk−walked talk−talked want−wanted believe―believed 一般には、a、bが不規則…

大川秀樹:慢性期失語症に対するピラセタムの投与経験.高次脳機能研究25:297−305,2005

要旨:ピラセタムは脳血管障害後の失語症に対し急性期に言語療法と併用することにより効果があり、現在欧米では広く使われている医薬品である。 しかし発症から3年以上を経過した慢性期失語症者に対しては現在のところ言語療法も含め有効な治療法はないとさ…

久保田博南:電気システムとしての人体 からだから電気がでる不思議.2001,講談社

1.心臓 発見 1628:W・ハーヴィー(イギリス)が血液が循環していることを発見 1733:S・ヘイルズ(イギリス)が初めてウマの血圧を測定 1857:J・マイヤー(ドイツ)が血液の酸素運搬を発見 1903:W・アイントーフェン(オランダ)が初めて心臓で発生する…