山鳥重:「わかる」とはどういうことか.筑摩書房;2002


(p.12〜16)

事実は自分という心がなくても生起し、存在し続ける客観的現象です。心像は心がとらえる主観的現象です。
 われわれの心の働きに重要なのは心像であって、客観的事実ではありません。心像を扱うのが普通の心の働きで、客観的事実は心にとってはあってなきがごときものです。もっと正確にいえば、われわれの心は心像しか扱えないのです。


(p.26)

 意志の力で注意を維持するのはなかなか大変ですが、好きなことだと努力の感情なしに没頭出来ます。好奇心が注意を維持してくれるからです。
 このように、心は好奇心(おおまかな心の傾向)→注意(具体的な方向づけ)→知覚(正確な区別)の流れで働きます。