第5章:半側空間無視とそのリハビリテーションはここまで変わった.高次脳機能障害の臨床はここまで変わった,2002


1.メカニズム
・眼球運動障害説
眼球運動障害のため左側を充分に検索できないことから起きる。→現在では否定的
・Kinsborneの説
注意障害説
仮定「左右の大脳半球は対側への注意のベクトルがある」
 仮定「左半球のもっている右側に向く注意の方が右半球のもっている注意よりも強い」
 損傷によって注意のバランスが崩れる。→問題点は注意のベクトルの存在が証明されていない。
・Hypokinesiaの説
運動の側面の障害とする説
右上肢が左側に向く運動の開始遅く、充分に運動が行えないために起こる。
入力面のみでなく表出面の両システムの存在を仮定。
通常は右頭頂葉に病変、右前頭葉まで病変が及ぶと表出面の障害の要素が加わる(Biaiachら)
・心的表象障害説
心的表象をつくる際、もしくは操作する際に障害が生じる。

2.座標系(左とは何に対しての左か?)
・網膜を中心とした座標系
・身体中心座標系
・物体中心座標系

3.無視側の情報処理
 視覚性消去現象を示す患者→左右視野に別の刺激を呈示し、左右の刺激の異同を問う実験で、可能な患者あり。ある程度処理可能とする。
 プライミング現象による実験の少なくともカテゴリーの処理までは行われている。

4.リハビリ
・注意障害説の考え方にたったリハビリ
①左側への注意が減弱しているため、左側へ注意を向ける訓練を行う
→般化が難しいという報告が多い
②全般性の注意力の改善によるリハビリ
全般的な注意低下で無視が起こるとの考えに立ち、全般的な注意を高める
・表象障害説の考え方にたったリハビリ
左側の空間表象の活性化を目的とした訓練