痴呆についてのまとめ

痴呆の原因となる可能性がある病気
・根本的には治療が困難な病気
アルツハイマー病・ピック病・レヴィ小体病・ハンチントン病脊髄小脳変性症などの変性疾患
・予防が重要な病気
多発性脳梗塞脳出血・ビンスワンガー病などの血管障害
・治療が可能な病気
正常圧水頭症・慢性硬膜下血腫・脳腫瘍などの外科的疾患・甲状腺機能低下症・ビタミン欠乏症などの代謝性疾患・脳炎髄膜炎などの炎症性疾患・廃用症候群(これは他の痴呆症に合併することが多いので注意が必要)


 痴呆症は「侵されている機能を把握するのは当然であるが、同時に保たれている機能を知ることは極めて大切」である。その理由として「脳が侵されてある機能が障害された場合、とりわけ変性疾患のように病的過程が進行する場合には、保たれた脳部位による多少の代償はのぞめても、元の機能状態にもどることは困難で、侵された機能へのリハビリはむしろ患者さんへの負担を高め、ケアとして逆効果をもたらすことが多い」ためである。

注意すべき点
・急にまとまりのない言動や行動がみられる場合は、身体疾患や薬剤(特に精神安定剤睡眠薬、抗コリン剤など精神科関連の薬)による意識の混濁であるせん妄を考える。
・廃用性症候群では、活動を高める工夫をする。

看護・介護のポイント
・体で覚えた記憶ないし趣味を活用する。
・急がせたり、意識的状況下に追い込まず、できるだけ自然な自動的状況を設定する。
・前方痴呆では毎日同じおかずを食べたり、毎日同じコースを散歩するといった常同行動をうまくケアに組み入れる(ルーティーン化療法)。
・介護システムを有効に利用する。
・障害を取り繕う反応に惑わされ、障害を過小評価しないこと。