鈴木淳一,小林武夫:耳科学―難聴に挑む―.中央公論新社,2001

音の三要素
1.強さ・大きさ
強さ(intensity):物理的強さのこと
大きさ(loudness):感覚上の強さ
2.高さ
周波数による。
3.音色
波形による。

構造等
ベケシー:基底板の振動の観察分析で1961年ノーベル賞
外有毛細胞、音が入ると一部は伸縮して基底板の振動を増幅する
「風疹ウィルス、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)ウィルスは、コルチ器を破壊する。ストレプトマイスン、カナマイシンといったアミノグリコシド系抗生剤は結核菌に対する特効薬であるが、ときに有毛細胞を損傷する」(p.25,26)

「聴覚系には、下方から上方へに向かってインパルスを伝える神経線維のみでなく、上位から下方の蝸牛にまで走行してくる神経線維もある。このような複雑な神経のネットワークにより、耳から入ってくる音の情報は尖鋭化されたり、抑制されたり、消去されたりする」(p.28)
→音源定位・両耳合成

聴検
通常は4分法が用いられるが、労働災害では4000Hzが傷害されやすいため、労災補償の判定では六分法が使用される。

補聴器を使用する耳
「①カーブが水平の方の耳につける。
②ダイナミックレンジの幅が大きい方の耳につける。
③五音弁別能がよい方の耳につける。
これらの音の聴取能力以外に、利き手、電話をきく耳を参考にする」
(p.143)

「補聴器専門店には、テクノエイド協会による講習会に参加し、試験に合格し、必要な年限の業務をこなした認定補聴器技能者がいる。このような人がいる店は、認定補聴器専門店という証書を入口に掲げている」
(p.148)



身体障害判定

等級
2級:両耳の聴力レベルがそれぞれ100dB以上のもの(両耳全聾)
3級:両耳の聴力レベルが90dB以上のもの
4級:①両耳の聴力レベルが80dB以上のもの
   ②両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が50%以下のもの
6級:①両耳の聴力レベルが70dB以上のもの
   ②一側耳の聴力レベルが90dB以上、他側耳の聴力レベルが50dB以上のもの

※程度判定は身体障害者福祉法により指定された耳鼻咽喉科医により検査を受け、診断書、意見書を書いてもらうことが必要

身体障害者での援助
・補聴器の支給
・補聴器支給以外の生活援助:屋内信号灯、障害者用目覚まし時計、文字放送用デコーダファクシミリ聴導犬
・コミュニケーション:手話通訳、手話奉仕員、要約筆記奉仕員の派遣
・交通:割引
・税金:控除、減税がある
・電話、テレビ:電話機の貸与、受信機購入の補助
・住宅:公営住宅公団住宅への優先入居、家賃の割引
・年金
・医療費:一、二級では自己負担が助成される


手話
日本手話、日本語対応手話がある

新生児難聴の危険因子

(p.191)
①家族に難聴者がいる
②母親が妊娠中に、風疹、サイトメガロウイルストキソプラズマなどに感染している
③新生児黄疸が重症(血清中のピリルビン価が高い)
④仮死で生まれた
⑤生まれたときの体重が少ない(3000グラム以下)
⑥頭や頸に奇形がある
⑦眼(虹彩)が青い
髄膜炎の既往がある